北海道地域調査会

テーマは、「地域医療再生の処方箋を考える」でした。

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こんにちは。しもみち英明です。
1月12日(土)ホテルポールスター札幌にて、「地域医療再生の処方箋を考える」をテーマにした勉強会に参加。
札幌への一極集中と地方都市の急速な過疎化は、道内のいたるところに様々な歪みをもたらしています。その最たるものが医師の地域偏在です。
地域医療の危機は、地域崩壊に直結するきわめて深刻な問題となっています。北海道の地域医療の現状とその対策のあり方について議論を深め、地域医療再生へのヒントを学びました。

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島本和明札幌医科大学学長のご講演テーマは、「医育大学における地域医療維持のための医師派遣の現状と今後の展望」でした。
卒後研修の必修化で地域医療の崩壊が始まった。医療費削減が根底に卒業研修義務化により大学から医師派遣を離し医局つぶしになった。
地域における医師不足は深刻で、道内の179市町村において145市町村で出産できる環境にない。医師の地域偏在化、診療科別偏在として内科、外科、産婦人科、小児科に若手医師が行きたがらない。
島本和明札医大学長からは、貴重なデータをまじえながら素人にもわかり易いご講演をしていただきました。頂いた資料は今後の活動に活かしたいと思います。

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藤森研司氏(北海道大学病院地域医療指導医支援センター)によるご講演は、「レセプト分析からみえる地域医療の実態と問題点」でした。
藤森先生の講演では、西胆振医療圏内の患者移動(救急医療)、外来化学療法の受領動向など保険者側からみたデータを開示し、大変興味深かったです。
藤森先生のご講演では、北海道全体として全国平均を上回る医療を提供しているが、地域差が大きく、提供体制は、一部地域に集中していることの現実をデータからお示しになりました。

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徳田禎久氏(北海道病院協会理事長)による「北海道病院協会の提唱する地域医療再生プラン」についてご講演されました。
地域医療崩壊の原因、医療提供体制上の問題の確認、地域医療再生の取組みなどについてデータを可視化されてご講演が進みました。
地域の再生と地域医療の再生を同じ目線でとらえ、取り組まなければならない。少子高齢化、人口減少は、医療機関にとっても大問題。
各医療機関受診患者は、ほとんど地域密着型であり介護福祉との連携なくして医療も存続不可能である。
徳田先生は、「地域の人口が減少しない取り組みが大事であり、若者定住のための産科、高齢者もふくめ対応可能な救命救急医療として脳外科、循環器科、消化器科等の計画配置が必要である」と提言されました。
さらに先生は、「社会保障関連ビジネスの構築による雇用創出が急務であり、地域での見守りシステムの構築として医療介護、生活支援のための情報通信技術導入と地元企業による管理が求められる」とビジョンをお示しになりました。

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北海道新聞論説委員の斉藤佳典氏がコーディネーターになり「行政からみた地域医療提供体制の問題点」についてパネル討論がありました。詳細は、北海道新聞の記事等をご参照ください。
国による抜本的改革、臨床研修マッチング定数の地方重視、診療報酬の是正などさまざまな論点についてご議論されました。
少子高齢化、人口減少は、地域の再生だけでなく地域医療のあり方に密接に関係していることをあらためて認識しました。地域活性化のプランを様々な角度から考える機会を持つことができました。今後の活動に活かしたいと思います。