議会研修後半その2
北海道町村議会議員研修会、二人目の講師は、道産子であり元NHKワシントン支局長手嶋龍一氏でした。
研修会前の空き時間中に北海道立美術館を訪れ、「奇跡のコレクション、北海道初上陸。大原美術館展」を見学しました。
大原美術館は日本で最初の西洋美術館として岡山県倉敷市に創設され、倉敷絹織(クラレ)を創始した大原孫三郎が、地元岡山の洋画家・児島虎次郎に収集作品の選択と購入を託し、コレクションの礎が築かれました。モネ、ルノワール、モディリアーニから草間彌生まで鑑賞しました。7月8日(日)まで開催です。
二人目の講師は、外交ジャーナリスト・作家で慶応大学教授の手嶋龍一氏による「世界の中の日本・アジアの中の日本~日本の外交戦略を探る~」がテーマでした。
手嶋龍一氏といえば、2001年同時多発テロ事件に際して、11日間、24時間連続の中継放送を担当したNHKのワシントン支局長として有名です。また、作家としても活躍し「ブラック・スワン降臨」、「外交敗戦~130億ドルは砂漠に消えた」は読み応えがありました。研修会の講師として楽しみにしてました。
北海道町村の地方議員研修会ですから、旬のネタから講演がスタートしました。3日(火)の各新聞の一面は、「民主分裂 小沢新党結成へ」でした。小沢氏の「もはや政権交代を果たした民主党ではない」を引用しながら、小沢一郎氏の功罪について言及されてました。
手島龍一氏流の「小沢一郎論」でなるほどと思ったのは、内政では破壊屋と言われるが、外交面で終始一貫ぶれていないとの言葉でした。同盟と言う対米依存か自立という対米独自論の上下の座標軸、バター(福祉重視)か大砲(軍備重視)という左右の座標軸から政治的リアリスト、軍事的リアリストに分けた分析をされてました。大変興味深かったです。多くの政治家は、ワシントン(対米依存)を向いている。しかし、小沢氏は、ニューヨーク(国連本部)を向いている。国連主義であるとのお話には合点するところが多々ありました。
道産子らしく北海道の今後についての話題提供がありました。21世紀の流通革命として北極海航路が注目されているとの事でした。北極海は温暖化により海氷が減少しており、欧州から日本へ自動車や食品などを運ぶ新たな航路となる可能性がある。距離も従来の南周りから大幅に短縮されるためコスト削減の期待も高まるとのことでした。
北の大地に新たな道ができる。従来のスエズ運河・マラッカ海峡経由よりは、大西洋と太平洋を結ぶ距離が約30パーセント短縮される。燃料消費量が約40パーセントから約50パーセント減少する。資源(原油・天然ガス)が豊富。マラッカ海峡やソマリア沖の海賊が出没するような航海の危険性がないとのことでした。北海道の優位性が高まるから期待できるとの明るいお話がございました。
アジア太平洋の経済連携の枠組み、TPP問題、基地の再編、日米安全保障体制について、オバマ政権のアジア・太平洋回帰、21世紀のアメリカの戦略についてなど広範囲に渡る外交面からの日本のポジションをご講演していただきました。90分の講演時間を10分以上越える熱いお話でした。
1989年から1990年まで社費留学でアメリカの大学に在籍しました。ちょうど世の中は、ベルリンの壁が崩壊した激動の時期でした。首都ワシントンD.C.でホームスティしながら語学学校に通い、その後、西海岸のオレゴン州ポートランドの大学で国際関係論を学びました。成績は、限りなく最下位だったような。東京本社の人事部からお叱りを受けたことも。時々、当時の夢をみるときがあります、、、。
今回、手島龍一先生のワシントンD.C.に絡んだ外交、政治のお話を聴きながら、昔の首都ワシントンD.C.の情景が目に浮かんできました。同時に最近の日本の外交、政治姿勢を見ると対米追随型、依存型だとつくづく感じます。留学したときから思いは変わりません。主権国家ですが日本は、51番目の州だと思います。しっかりしてほしい日本の外交です。ちょっと高尚にブログをまとめてみました。生意気な発言お許しください。